ミヤコショウビンの謎 | 宮古島キッズネット

ミヤコショウビンの謎（なぞ）

ミヤコショウビンという名前を聞いたことがありますか？

ミヤコショウビンとは、宮古島にだけ生息（せいそく）していたと言われるカワセミ科の鳥の名前です。

ミヤコショウビンが発見されたのは、今から125年前の1887年（明治20年）でした。植物学者、民族学者、冒険家だった、田代安定（たしろあんてい) さんは、宮古島の調査中にミヤコショウビンを捕獲（ほかく）し【すでに死んでいたのを採取した、という説もあります】標本として保管していました。

田代さんはその後、この鳥の標本を東京帝国大学（現在の東京大学）の動物学の研究室に預けたままになっていました。

ところが、発見から30年後に日本ではじめて鳥類の研究をしていたひとりである、黒田長礼（くろだながみち）博士が、この標本についての噂を聞いて発見者の田代安定さんに発見当時の話を聞くとともに、東京大学に保管されていた標本を調査しました。

その結果、1919年（大正8年）には新種の鳥と認め、ミヤコショウビンとして学会に発表しました。
これによって、宮古島の名前のついた鳥 Halcyon miyakoensis が、世界に紹介されたのです。

しかし発見から50年たっても、宮古島では田代さんが見つけたミヤコショウビンは一羽も発見されなかったことから、1937年には絶滅種とされたのです。

田代安定さんによって発見されたミヤコショウビンの標本は、今でも千葉県我孫子市にある、日本最大の鳥類研究センター、山階（やましな）鳥類研究所に保管されています。

山階鳥類研究所のミヤコショウビンに関する解説は、こちらです。

山階鳥類研究所にある標本は傷（いた）みがはげしく、色も変わっているので、ミヤコショウビンが本当はどのような鳥だったのかが、わかりにくいですよね。

この写真がミヤコショウビンに最も近いといわれている、グアム島に生息するアカハラショウビンです。

ミヤコショウビンとの違いは足の色で、アカハラショウビンの足は黒っぽい色ですが、ミヤコショウビンを発見した田代さんは、足の色はおなかの色と同じオレンジ系だったと話していたそうです。

Photo Courtesy: WAZA
(World Association of Zoos and Aquariums)

それにしても、今から125年前にたった1羽だけ見つかり、その後は全く宮古島で発見されることがなかった新種のミヤコショウビン。
ミヤコショウビンの話は、たくさんの謎（なぞ）につつまれています。

1.	ミヤコショウビンは、本当に宮古島だけに生息していたのだろうか？
2.	ミヤコショウビンはどこか他の土地や島から来た、迷い鳥ではなかったのだろうか？
3.	ミヤコショウビンは、鳥好きの人が外国からペットとして持ち込んだのではないだろうか？
4.	発見者の田代さんが、発見した場所や時期について勘違いをしていたのではないか？

これまでは標本の傷みも大きいので、そのどれが正しいのかを知る事ができませんでしたが、今ではDNAや分子生物学的解析（かいせき）という科学的な方法で調べる技術が高くなってきています。
山階鳥類研究所でも、ミヤコショウビンのこれまでわからなかった新しい事実が発見されるかもしれないと考えています。

「むかし、宮古島には美しいミヤコショウビンという、足もオレンジ色のとてもオシャレな鳥が生息していたのかもしれない。」と考えるだけで、夢があって楽しいですよね。

参考資料：
1. Family Kingfishers (Alcedinidae) Extinct in the Wild
Guam Kingfisher (Todiramphus cinnamominus)
HBW Extinct in the Wild, Handbook of the Birds of the World (1989), Barclona, Spain
2. 公益財団法人山階鳥類研究所
3. Extinct Birds, By Julian P. Hume, Michael Walters (2012)"
4. World Association of Zoos and Aquariums
5. 環境省レッドデータブック

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